愛のカタチ
第10章 二人だけの時間
「ねぇ、そろそろ帰る?」
美沙に言われてハッとした――。
手元の時計を確認したら、とっくに日付が変わっている。
「そうだな。どうする?もう一軒行く?」
みんなの声が、遥か遠くに聞こえる。
濃密な時間は、夢のように過ぎ去っていった。
もうすぐ、賢司との別れの時間が迫っている。
私は、賢司に気持ちを伝えるべき…?
でも、今さら何を言ったって無駄な話よね…。
伝えたところで、お互い過去の話なわけだし……。
胸の中で沸き起こる葛藤に、周りの声など全く耳に入らなかった。