愛のカタチ








「ここからなら、もう大丈夫だよな?」



あの角を曲がれば、すぐそこだ。



「うん」



コクンと頷いた賢司は、頭のてっぺんに掌を乗せ、二、三度、髪を優しく撫でた。




「じゃあ、またな…」
と言うと、タバコをくわえ、駅へ向かって歩きだした。





だんだんと遠くなる背中。 



賢司…… 



賢司…… 





何度も何度も、心の中で彼の名前を呼び続けた。 










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