愛のカタチ
リビングに荷物を置き、向かった先は、廊下を出てすぐそこにある洗面所だ。 



鏡に映った自分に、愕然とした。 



剥がれた化粧、目の下の隈、何より、冴えない表情の自分の顔に驚いた。 



こんな顔で、賢司に会ってしまったなんて……。 



おまけに、本当なら楽しい同窓会になるはずだったのに……。 




溜め息とともに、ポンプ式のハンドソープを二回押し、よく泡立てながら手を洗った。



鏡を見ながら、使用時間をとうに過ぎたコンタクトレンズに手を伸ばした。



ところが…
親指と人差し指で摘むけれど、角膜に張り付いてなかなか剥がれようとしない。



まるで、私が抱く賢司への想いのように……。



ようやく外れたレンズは、潤いを無くし、完全に渇ききっていた。





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