愛のカタチ
第12章 帰る場所
――金曜日。
今夜は、例の送別会があるからご飯の支度は必要ない。
一人分だけ作るのは面倒だから、近所のスーパーでお惣菜でも買ってきちゃおうかな。
昼間からテレビを付けっ放しで、リビングのソファーに横たわり、ダラダラと当てもなく過ごしていた。
――と、自宅の電話が鳴った。
「はい、もしもし?」
「真理?あたし、あたし。お母さんよ」
受話器を取ると、母からだった。
「……でねぇ、隣の前田さんからサツマイモや栗をたくさん戴いたから時間のあるときに取りに来てちょうだい」
「時間ならいくらでもあるよ。今からでもいい?」
「いいけど。拓也さんは?」
「今日は飲み会だから留守なの。今夜は、私一人だから」
「そう。じゃ、今から来たらいいわ。それじゃ、気を付けてね」
受話器を置き、壁に掛けられた時計を見ると、夕方の6時を少し過ぎた位だった。
外はまだ明るいけれど、カーテンを締め、サッと戸締まりを済ませた。
ほんのり唇にグロスを乗せ、バッグに携帯と免許証を入れ、車のキーを掴んだ。