愛のカタチ
ちょうど夕方のラッシュ時とあって、幹線道路は渋滞していた。
途中、コンビニに立ち寄りはしたものの、実家に着いたのは7時を少し過ぎたくらいだった。
チャイムを鳴らすと同時に門扉を開け、シリンダーに鍵を差し込んだ。
相変わらず、合鍵を使う習慣はなかなか止められない。
「こんばんはー!」
「あら、ずいぶん遅かったじゃない?ちょうど今、サツマイモが蒸(ふか)し上がったところよ」
エプロンで濡れた手を拭きながら母がやってきた。
「あれ、一人?みんなはまだなの?」
「そうよ。いつものことよ」
腰を屈めてスリッパを差し出すと、然も何もないかのようにさらりと言い放った。