愛のカタチ


「で、今日はお父さん遅いの?」


「ここんところ、ずっとよ。仕事が忙しいみたいでね。管理職は何かと大変なのよ」


「ふーん」


広げたティッシュに、サツマイモの皮を置き、手を払った。


続けて、もう一つ手を伸ばした。


今度は、ちょっと小振りの丸い芋だ。



「美味しいね。止まらないよ!」


「でしょう?お母さん、甘いもの食べてたから、今度は塩っぱいものが欲しくなっちゃったわ」


立ち上がり、戸棚からガサガサと煎餅の袋を取り出し始めた。 



「えっ?食べるの?」


「そうよ。ここの手焼き煎餅、美味しくてね。食べだすと止まらなくて、いつも一人で一袋食べちゃうのよね」


手にした煎餅の袋を豪快に開け、ザザーッと全部皿に流し入れ、すぐさまバリバリと食べ始めた。


「ねぇ、そんなに食べると太るよ!」


「もう太ってるから大丈夫よ。ほら、見て!」



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