愛のカタチ
第1章 赤い糸
ピピー…ピピー…ピピー…
明るいリビングに、キッチンからお湯が沸いたことを報せる機械音が鳴り響いた。
――トンッ。
読みかけの雑誌をローテーブルに広げたまま立ち上がると、リビング脇にあるキッチンへと向かった。
点滅している電気ケトルのスイッチをOFFにして、用意していたティーポットにゆっくりと渦を描くようにお湯を注いだ。
「んー、いい薫り」
たちまち、リビングはアップルティーの優しい薫りに包まれた。