愛のカタチ


豪快に笑ったかと思ったら、シャツを捲り上げ、見事な三段腹をこちらに向けた。


「そうはなりたくないから遠慮しとくわ」



「何言ってるのよ!真理も仲間じゃない。私の娘だもの。体質も似ているし、行く末は一緒よ。あははは…」


母の高らかな笑い声が、リビングに谺した。


父は、細身の長身。


母は、ふくよかな体型。


小柄な私は、どちらかというと母に近い。


弟の諒は、ダンスをやってるぐらいで、食べてもあまり太らない体質だ。


行く末を考えると、確かに不安だ。


「ねぇ、お父さん、騙されたとか言ってない?」


「あははは。そりゃ、いつも言ってるわよ!結婚した当初から20kgも増えたんだから。でも、止められないのよ、食べること!」


話しているうちに、皿の上の煎餅が半分になりかけていた。 


熱いお茶に煎餅と、手が忙しい。


見ていて、可笑しい。


「お父さん、詐欺だと思ってるかもよ?」


「あらー、それ言うならお互い様よ。だって、お父さんだって、恋愛中はあんな顔してベタベタ甘えてたくせに、子供が生まれた途端、仕事人間になっちゃうし。子供が小さいうちは、私もイライラしたわよ」



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