愛のカタチ


「でもね、こうして小さいけれど、マイホームを持つこともできて、お父さんには感謝しているわ。
外でしっかり働いて、家族を養ってくれているんだものね」


私たちが幼い頃の父は、休みの日になると必ず、動物園や水族館に連れて行ってくれた。 


でも、私たちが成長するのと比例して、だんだんと仕事が忙しくなっていき、ある年の運動会には見に来れないこともあった。


あのときのショックは、大人になった今でも、はっきりと覚えている。 


「男の人は、いろいろと大変なのよ。だから、家が寛げる場所であるように奥さんが舵取りするのよ!

男なんて単純だから、掌で上手に転がせば、イチコロよ!
たとえ浮気したとしても、美味しいご飯があれば、必ず家に帰ってくるわよ」


「…う、う、うわき!?
お父さんからは想像できない!」


「例えば、の話よ。
あの人はそんなことできる質じゃないわよ。
もし、そうなってもすぐにバレるタイプよ、お父さんは!」



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