愛のカタチ



「ねぇ、せっかくだからご飯食べて行きなさいよ」


「うん。そうするわ」


母に勧められ、そのまま晩ご飯をご馳走になることにした。


秋刀魚の塩焼きに肉じゃが。ほうれん草のごま和えに茄子の味噌汁と、私の好物ばかりだ。



「美味しいわねぇ!」



さっき、あれだけ食べたというのに、母はまたしても、美味しそうに箸を動かす。


あっという間に、ご飯一膳平らげた。


母との二人だけの食事は、笑いに包まれ、ゆったりとした時間が流れていた。



〜♪ピンポーン♪〜



母と二人の静かなリビングに、突如、玄関のチャイム音が鳴り響いた。



インターホンを押すと、「ただいま」と、父の低い声がした。



「おかえりなさい!今、開けるわね」



短いやり取りのあと、母はスリッパをパタパタ鳴らしながら玄関へと向かった。


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