愛のカタチ

久しぶりに三人で食事をした。


結婚前は、いつもこんな感じだった――。


アルバイトや友達との付き合いに忙しい諒が帰宅するのは、だいたい日付の変わる深夜のことが多い。 


だから、当然のように、三人で食卓を囲んでいた。 


私が結婚し、この家を離れてからは、急に二人きりの食事になり、「淋しい」と母が漏らしたこともあった。 


でも、いつしかそんな生活にも慣れ、「夫婦二人だけの時間もいいわよ」と言ったことがある。


上手に子離れし、夫婦の時間を大切にしているのだろう。


船の舵取りをする母……


もしかしたら、父がそうなのかもしれない。 



母は、あれこれ進路を提案するけれど、最終判断は父が下す――。 



二人を見ていて、そんな風に思えてきた。




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