愛のカタチ

振り返ると、両手にビニル袋をぶら下げた母が、「これこれ」と差し出した。


中を覗くと、蒸したサツマイモや栗の他、煎餅まで入っている。 


「えっー!?こんなにたくさんいいよ」


「いいから、いいから持って帰って!拓也さんにも食べさせてあげてね」


「うん。ありがとう」



どう考えても、二人では食べきれない量だ。 



お母さんなら余裕だろうけど、これを一人で全部食べたら…… 


想像しただけで、恐ろしくなる。 


靴に履き替え、玄関のドアを開けたときだった――。





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