愛のカタチ
ブッブッブー!!
甲高いクラクションの音に驚き、顔を上げると、信号は青に変わっていた。
一瞬、バックミラーに映る後続車に目をやり、慌てて車を発進させた。
走りだしてからも、左手に携帯電話を握り締めたまま、頭の中は賢司のことで占められていた。
夜の幹線道路は夕方とは打って変わって、通りを行く車も疎らだった。
自宅マンションまで、あっという間のドライブだった。
ギアをパーキングに戻し、全開の窓を締め、エンジンを切った。
静けさが増す駐車場で、シートを後ろに下げると、一度だけ大きく息を吐いた。
握り締めていた左手が、少し汗ばんでいる。
一旦、携帯電話を掌から離し、開いたり閉じたりしながら手の平や指先を眺めた。
――…そうだ!