愛のカタチ
「ところで、用件は?」
「あぁ!近くまで来たからさ。
もし時間があれば、お茶でも…と思ったけど、そんな調子なら無理だな。お茶はまたにしよう」
「ごめんね」
「いや。俺の方こそ、急だったから」
「本当にごめんね。それじゃ、またね」
「またな」
電話を終えたあとも、私の頭の中は、賢司のことよりも、自分の身体の中で起こっている変化に、冷静ではいられなかった。
あれほど待ち望んでいた賢司からの電話も、このときばかりは鬱陶しく感じた。
自分の身体の変化に、当の本人が一番戸惑っていたのかもしれない。