愛のカタチ
正直なところ、結婚記念日に期待など、更々していなかった。
寧ろ、忘れられていると思っていたくらいだから。
ここ数ヶ月、連日の午前様に加え、土日もゴルフやパチンコに出掛ける機会の多い拓也とはすれ違いばかりで、ゆっくり二人で過ごすことはなかった。
――というのも、私の体調がすぐれない日が続いていて、拓也に遠慮しているところもあったのだけれど。
夕飯の支度をするのも儘ならず、「外で適当に済ませてきて!」と懇願する日も多かった。
私自身、正直、結婚記念日をお祝いするような気分ではなかった。
とにかく、早くこの苦しみから解放されたい一心だった。
でも……
せっかくの誘いであったから、月末の結婚記念日に合わせ、宿泊することを決めた。