愛のカタチ

ぷくっと頬っぺたを膨らませたけれど、確かに言われてみれば、拓也の言う通りだった。 


新婚時代の甘い生活から、空気のような存在に変わりつつある中で、私自身の心も変わってしまっていたのかもしれない。 


穏やかに暮らすことが平凡だと揶揄し、それが、どれだけ幸せなことか、考えようともしなかった。 


今、こうして、平凡だけど、二人とも健康で暮らせていることは、実はすごく有り難いことなのかもしれない。


普段、何も言わない拓也だけど、こんな私のこと、どう思っているんだろう。 


まさか、“結婚しなければ、よかった”なんて、思っていたりして……。



「さっきからどうしたんだよ?今日は、なんだか変だぞ?」



「………」
 




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