愛のカタチ
窮屈な喪服に加え、長いお坊さんのお経に足の痺れは限界を超え、顔が歪んだ。
横に座る拓也も然りで、二人で顔を見合わせ、苦笑いを浮かべた。
周りを見渡すと、従兄弟の健太(けんた)が目を瞑っている。
身体をリズムよく揺らしているところを見ると、お経がBGMになってしまったようだ。
笑いそうになるのを必死で堪えていると、ようやく長いお経が終わりを告げた。
お坊さんがこちらを振り返り、皆に向かってお辞儀をした。
おーっと、と!
慌てて、私たちも姿勢を正し、お辞儀を返した。
お坊さんが席を立ち、親戚連中が正座する中を通り過ぎるのを見送った。