愛のカタチ

「バイト帰りに会ってさ。
『姉ちゃん元気にしてるか?』って聞かれたから『相変わらずですよ』って言っておいたよ!」


「………」


冷蔵庫から缶コーヒーを取り出した諒は、プルトップを引き上げると、思い出したように言った。


「それにしても、すげぇよな!海外赴任だなんて!めちゃくちゃ格好良いよ、あの人!」


「ちょっと待って。……なんで、あんたが知ってんの?海外に行く話」


「なんでって、本人が言ってたんだよ!今週、出発するって!」


「――…えっ?今週って、いつの話よ?」 


だんだんと、呼吸が速くなり、苛立ちが募ってくる。


「だから、先週の水曜に先輩に会ったんだよ!」


「先週の…水曜……」




< 256 / 304 >

この作品をシェア

pagetop