愛のカタチ
お皿の上に載せられたフィナンシェに手を伸ばし、一つ頬張る。 


「うん。なかなかいけるかも」


程よい甘さ、しっとりとした生地。


香ばしいアーモンドが、ほんのりと口の中に広がる。


昨夜、『真理にお土産だよ』と、夫・拓也が仕事帰りに買ってきたデパ地下の有名な洋菓子。 


フランスの老舗洋菓子店で修行を積んだパティシエが、帰国後、芦屋に店を開き、たちまち全国区の人気店になったとか。



これが結婚当初なら……


「私のために買ってきてくれてありがとう!」と、素直に喜ぶところだけど…… 


今となっては、「ご機嫌取りかな?」なんて、勘ぐってしまう。 




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