愛のカタチ
拓也の実家は、四国の静かな田舎町にあった。
瀬戸内海に面した、人口三万人ほどの小さな町。
若者は皆その町を離れ、海を渡って広島や岡山の学校に進学したり、遠く、東京や大阪に上京していた。
拓也自身も大学進学を機に上京し、そのまま東京に残り、就職した。
隣近所が皆、知り合いという田舎特有の付き合いに、私は結婚当初から少し気後れしていた。
皆、いい人なのだけれど……
あれこれ世話を焼かれたり、詮索されるのが、正直、苦痛で仕方なかった。