愛のカタチ
「とりあえず着替えて!そのままじゃ寝られないでしょ!」



着替えを促そうとするけれど、返事は、大きな鼾だけに変わった。



「ねぇ、本当にここで寝ない方がいいよ。ベッドに行こうよ?」



もう一度、声を掛けてみたけれど、拓也はすでに夢の中だった―。 



ひとまず、倒れた椅子を元に戻し、脱ぎ捨てられたスーツをハンガーに掛けた。


完全な酔っ払いを前にして、もはや溜め息しか出なかった。



リビングのライトを消して、一人寝室に戻ると、手元の時計は、午前2時を差していた。



明日もウィークデーだというのに…。



窓を開けると、心地よい夜風が吹き抜けた。すっかり目が覚めてしまい、再び、アルバムに手を伸ばした――…。





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