愛のカタチ
第5章 心の騒めき
――翌朝。
「頭が痛えなぁ。昨日は、ちょっと飲み過ぎたかな」
額を固く握った拳骨で、コンコンと叩きながら寝室からのっそりと拓也がやってきた。
その姿を見ただけで、昨夜の怒りが再燃しそうになった。
「なぁ、俺、どうやって帰ってきたの?全然、覚えてないんだけど」
「はぁっ?覚えてないの?」
「……あぁ」
――呆れた。最悪だと思った。
「何、考えてんの?いい加減にしてよ!」
吐き捨てるように辛辣な言葉を次々と浴びせ、拓也を非難した。
反論するかと思えば、意外なことに素直に謝ってきた。
「昨日は悪かったな。連絡できずに……」
頭を掻きながら平謝りを繰り返すものだから、「次から気を付けて」とだけ言い放ち、背中を向け、朝食の支度に取り掛かった。