愛のカタチ
ダイニングテーブルに並べられた朝食を前に、拓也は申し訳なさそうにポツリと言葉を吐いた。
「悪い。食欲ないから野菜ジュースだけもらうわ」
「あ、そう」
今日は、やけにおとなしい。
どうやら昨晩の記憶が二軒目以降、途切れたらしい。
とっくに終電がない時間。
でも、どこからタクシーを拾ったのか、覚えていない。
「運転手と喧嘩して、腹が立って文句言ったのは覚えてるんだけどなぁ。金もいくら払ったか、分かんねぇし……」
苦笑いを浮かべながら目の前のグラスに手を伸ばした拓哉は、ジュースを一気飲みした。
「あっ!そうそう、お盆の墓参りの件だけど……13日から17日まで夏期休暇が取れたから」
――…えっ?
あんな堅苦しい家に、5日もいたら気がおかしくなるじゃない!
おまけに、それじゃ同窓会にも行けない!!
「それは、ちょっと困る」
「困るって、なんで?」
「同窓会の通知が来て、15日にやるんだって!できれば参加したいから」