君と僕の夏
「ナっオー!今日どこでくってもええんやって!どこで食うー?」
「えー?」
今年の夏に耐震工事が始まった今、調理室が使えなくなり、彼女達生徒は各自でお弁当を持ってくることになっていた。
その所偽か、食事をとるのは自由ならしかった。
四限の終了を知らせるチャイムが鳴った途端に、大きな声でそう言いながら駆け寄ってきた理紗に、ナオは大きく振り向く。
「んー、どこがええかなぁ。屋上はあかんやろ?んー・・・。」
難しい顔をしながら考え込む理紗を眺めるように見つめながら、ナオは鞄からお弁当箱とペットボトルを取り出した。
「別、どこでもええけ。」
「えーっ、つまらんやぁ!もっとテンション上げぇや!」
バシッと頭を叩かれたナオは、ムスッとした顔になって叩いた本人を上目で睨みつめる。
怯むことなく、理紗は言葉を続けて言った。
「閲覧室はええやんなあ!本なんて読みに来る人おらんし!先輩も来おへんやろっ」
嬉しそうに頬を緩ませる理紗。
早よ行こやあ、とすっかり張り切っている彼女に呆れたように笑顔を浮かべると、ナオは無邪気に走る姿を追った。