今日は運転手で
こき使ってって…
一瞬、ムカッとしたけれど、あたしは口をつぐむ。
だって、反論できる余地がない。
これはあたしのせいじゃなくて、100パーセント母のせいだ。
そういう言い訳はできるけど。
でも、今日は、あたしの、何回目かのお見合いで。
その、大事なはずの日に、母は仕事が忙しいらしくて、自分は来ない。
その代わりに、毎度のことながら、彼をにあたしを託すのだ。
ああ、100パーセント母のせいってわけではないか。
あたしがお見合いを断れば、彼はこんな目に合わなくなるんだ。
「母に、断ればいいのに」
彼は、頭をかき混ぜる。
「…それができれば苦労しなんだよな。あのヒト、大事な取引先のヒトだから。…ごめん、シャワーしてくる。中、入ってる?」