もう君はいない
転校生
〜藍咲莉菜side〜
高校生になって2ヶ月。
1Aに転入生がやってきた。
「川島礼央です。よろしく」
かっこいい、と不覚にも思ってしまった。
『じゃあ、川島。藍咲の隣な』
先生の一言で、川島礼央くんはわたしの隣の席にやってきた。
「ねぇ、莉菜!」
「んー?」
前の席で長い付き合いの宇佐美麻友。
「礼央くん、かっこいいねーえ!」
超面食いな麻友が騒ぐとゆうことは…川島礼央はかなりのイケメンらしい。
もう隣にいる本人に気づかれたら嫌だから、うんうん、と頷いた。
休み時間になると1Aに人が、というか、川島礼央に人が集まっていた。
『川島ってどこ出身ー?』
『なんでここ来たん?』
『どの辺に住んでんのー?』
質問攻めにあっている川島礼央はかなり焦っている…と思いきや、器用に全ての質問に返答していた。
(恐るべし川島礼央)
『きゃー♡転校生超かっこいいじゃん!』
『イケメーン!』
『メアド知りたい〜♡』
他クラスの女子も廊下から川島礼央を見て騒いでいる。
このルックスなら当たり前か、とわたしも納得するほどのイケメン。
川島礼央の周りには、その日1日、人が絶えなかった。
「んなー、今日カラオケ行かね?」
わたしが1Aで唯一女子友のように話せる男子、東堂謙斗が川島礼央に声をかけた。
「いーけど、2人⁇」
小馬鹿にしたように鼻で笑った川島礼央。
普通の人ならむかつくのに…若干可愛いと思っている自分がいた。
「あー、莉菜と麻友ー」
「「なに?」」
「カラオケ行かね⁇」
麻友と目を合わせる。
わたしは行かない、と目で麻友に言った。
はずなのに…
「行く〜」
と麻友は言った。
麻友は1番気があう友達。久しぶりに意見が合わなかった。
「おー、てことで川島!4人!」
「おう」
こうしてカラオケに転校生の川島礼央と行くことになった。