幼なじみが、先生で。


いくら文化祭のためたはいえ、平均的な体型という理由だけでみんなより先に着るなんて普通に嫌だ。


断るという選択肢か浮かばないけれど、


「お願い!辻宮さんっ!」


クラスメイトにこんな深々と頭を下げられたら…………。


「わかった、いいよ」


断れないに決まっている。


「辻宮さん〜〜!ありがとうっ」


「は、はぁ……」


さっきまでの真剣さは消えて、目をキラキラと輝かせる姿は一瞬、二重人格なのかと疑ってしまった。


断ればよかったかなぁ……?


「じゃあ、さっそく着替えに行こっか!」


そんなやる気のないわたしなんか気にもせず、無理矢理腕を引かれ、すぐ隣の女子更衣室となった教室へ連れて行かれた。


当日私はメイド服なんて着る気ないのに……。

むしろ制服を脱ぐつもりさえないのだ。


渡されたメイドをまじまじと見つめて、思わずため息が零れる。


考えても無駄だし、さっさと着てしまおう。

観念して黒歴史になるであろうメイド服着用に挑んだ。


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