幼なじみが、先生で。
ほんの一瞬、顔を上げたら切なげな表情の遥が目に映った。
そして、5cm、3cm、1cmと顔と顔の距離が近づき………。
わたしの口を塞ぐように、唇が静かに重なった。
「ごめん………」
なんで遥が謝るの?
勝手に……キス……しておいて謝るなんておかしい。
そう言ってやりたいのに声が出ない。
なんでキスなんかするの。
わたしたちは“友達”なのに。
「好きだ」
ぎゅっとわたしの体を抱きしめる遥の腕は震えていて、涙が止まらなくなる。
蒼ちゃんをこれからもずっと好きでいたい。
そう決意したばっかりなのに。
蒼ちゃん、わたし………。
遥を突き放すことができなかった。
心が迷子になる。
ガタンッと少し離れた所から聞こえた音なんか、気にもならないくらいに。