幼なじみが、先生で。
「蒼ちゃんって………桐生先生とは元々知り合いだったのか?」
本当は蒼ちゃんにも迷惑が掛かるから言えない秘密。
だけど、遥には言わなきゃいけない気がした。
「蒼ちゃんとわたしは幼なじみなんだ」
遥には知っていて欲しかったの。
「やっぱり……そうか……」
今、少し遥が笑ったような気がした。
「やっぱり」って、気づいてたの?
わたしが蒼ちゃんを好きなことだけじゃなくて、蒼ちゃんと幼なじみだってことも知ってたの?
聞きたいことが次々と溢れてくる。
上手く声が出ないのが辛いくらいだ。
「海里が桐生先生を好きなのはすぐわかったよ。廊下で先生を見かけるたびにいつも振り返って、切なそうな顔をするから……」
「えっ……」
蒼ちゃんとの関係がバレないように学校では話すのを控えていたのに、無意識に振り向いちゃうわたしを遥は知ってたんだ。
蒼ちゃんと廊下ですれ違ってもこっちを見てくれない。
わたしが振り向いたら蒼ちゃんもこっちを見てるんじゃないかって思ってたの。
「あんなに1人の先生を意識するなんて何かあるとは思ってたけど幼なじみとはな……」
幼なじみだと知っていたのではなくて、何か関係を持っていることに気づかれていたなんて。
遥に気づかれているなら他の人にも気づかれたりしてないかな……?
ちょっと不安だ。