幼なじみが、先生で。



「好きだ」



今でも耳に残っている俺のクラスの生徒、芹澤遥の声。



文化祭当日、海里のクラスに来たら女子生徒達にすぐに囲まれてしまった。



教室を覗いても海里の姿がなかったから戻ろうと思ったのに…………これじゃ動けない。


そんな時にようやく海里が現れた。


「辻宮?」


「きっ、桐生……先生……」


いつも見ない海里の格好にかなりドキドキした。


セーラー服なんか着て………完全に狙ってるだろ。

苦しくて息が止まりそう。


照れる気持ちを隠しながら、海里と少し昔話をした。

たぶん5分くらいだったと思う。


でも、この数分が俺にはとても大切な時間に感じた。


そんな俺と海里の時間を止めた芹澤の声。


「かーいーりっ!」


背後から海里に抱きつくように現れた芹澤に少しムッとした。



「海里に気安く触るな」なんて台詞が脳内を過る。

何考えてんだよ、俺。


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