幼なじみが、先生で。


蒼ちゃんの家に行く理由がなかなかできなくて、学校以外ではほとんど会う機会がなかった。

お母さん、ありがとう!


「間違って蒼くんの家の荷物がこっちに届いたみたいなの。夕飯の片付けしなくちゃいけないからお願いしていいかしら?」


「わかった!行ってくる」


小さい小包をお母さんから受け取って、玄関より前に洗面所に寄り道をした。


せっかく蒼ちゃんに会えるかもしれないんだもん、ちょっとでも身なりを整えて行かなくちゃ。

鏡の前で髪型や服装をチェックして「よしっ」と小さく気合の一言を吐く。

部屋着に着替えちゃったけど、ほんの少しでもいいから可愛い自分でいたい。


今更蒼ちゃんの前で着飾っても意味がないかもしれないけど、わたしの精一杯の愛だ。

蒼ちゃんが出てくれるといいなぁ。


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