幼なじみが、先生で。
「…………まだ何か用でもあるのか?」
「へ?」
荷物を渡し終えても全く動かないわたしを不審に思い、蒼ちゃんは頭の上にはてなマークを浮かべている。
そりゃあ………そうだよね。
用事は済んだのにまだ帰らないのはおかしいよね。
まだ、一緒に居たかったのに……。
「………大学、受かってよかったな」
「え?あ、うん」
このまま玄関を閉められるかと思えば、蒼ちゃんから話題を振ってくれた。
わたしがなかなか帰らないから察してくれたのかな?
蒼ちゃんともっと話していたいって、届いた?
それはそれで恥ずかしい気もするけど…………。
一緒に居れるならなんでもいいや。
「数学で赤点取って泣いてたのによく頑張ったよ」
「な、泣いてないから!!」
「ははっ、でも赤点取ったのは事実だよな?」
「うぅっ………」
今日の蒼ちゃんは意地悪だ。
数学だけはどうも苦手で、毎回赤点か赤点ギリギリの点数だった。
数学担当の蒼ちゃんから、大量の課題を出されたのがいい思い出かもしれない。