幼なじみが、先生で。


「大人になると昔のことなんてすぐ忘れちゃうのに……蒼ちゃんはずっと憶えていてくれたんだね」


あの頃の記憶を全て思い出すことはできないけれど、2人合わせてなら幼い頃の恋心でさえもきっと感じられる。

タイムスリップしたみたいにずっと語っていられるだろう。


「俺の夢が見つかった日だからな」

「ただの子どもの戯言なのに蒼ちゃんは優しいね」


「なんでもいいんだよ。海里に言われてそういう道を選ぶのもアリだなって気づけたから」


卒業前に聞けてよかった。

これからも教師を続けていく蒼ちゃんを側で見続けていきたい、改めてそう想う。

そして、そんな蒼ちゃんに負けないくらいの夢を見つけたい。


今のわたしの目標だ。


「長話はここまで。寒いから早く戻れ」

「えー、わたしはまだ…………くしゅんっ」


もうすぐ春が来るとはいえ、2月の夜はまだまだ冷える。

しかもこんな薄着だ。


蒼ちゃんの前でくしゃみするなんてちょっと恥ずかしいかも。


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