幼なじみが、先生で。
こうやって気軽に触れられなくなるのかと思うと、やっぱり寂しい。
「で、遥はなんだったの?」
「あー……もういいんだよ」
「何それ!逆に気になるんだけど」
「せいぜい単位落とさないように頑張れよってこと」
「おっ、落とさないから!」
全く遥は最後の最後まで意地悪だ。
こんなふうに2人で笑い合えるのも当分先になるだろう。
今度はいつ遥に会えるかな。
なんだかまた泣きそう…………。
「泣きそうな顔してる暇があったらさっさと行ってくれば?」
「行くってどこに?」
「鈍いやつだなぁ……桐生先生のところに決まってるだろ」
「あっ…………」
今日、ようやく教師と生徒の関係が終了したんだ。
蒼ちゃんに……今すぐにでも伝えられる。
伝えなきゃ。
わたしのずっと、ずっと、大切にしてきた気持ちを……。
「ありがとう!遥」
「………頑張れよ海里」
最後に遥に手を振って、見慣れた校舎内へと走り出す。
蒼ちゃん……今、どこに居るの?