幼なじみが、先生で。
蒼ちゃん。
蒼ちゃん。
早く会いたいよ。
桜並木を抜けて、休む暇もなく走り続ける。
足の痛みも、苦しくなる呼吸も気にならない。
蒼ちゃんのことしか考えられないよ。
蒼ちゃんの用事ってなんだろう。
*
「はっ………はぁ………」
走り続けて数分。
ようやく蒼ちゃんの家の前に着いた。
こんなにドキドキと心臓がうるさいのは走ったせいなのか、それともーーー。
よし。
なんとか荒い呼吸を整えて、インターホンに手を伸ばそうとした瞬間、
「あら、海里ちゃん?」
タイミングよく玄関の扉が開いた。
「わっ!あっ……え……こんにちは……」
蒼ちゃんのお母さんだ。
なんでこんなにタイミングいいんだろう。
びっくりするに決まってるよ………。