幼なじみが、先生で。


蒼ちゃん。

蒼ちゃん。


早く会いたいよ。


桜並木を抜けて、休む暇もなく走り続ける。

足の痛みも、苦しくなる呼吸も気にならない。

蒼ちゃんのことしか考えられないよ。


蒼ちゃんの用事ってなんだろう。






「はっ………はぁ………」



走り続けて数分。

ようやく蒼ちゃんの家の前に着いた。


こんなにドキドキと心臓がうるさいのは走ったせいなのか、それともーーー。

よし。

なんとか荒い呼吸を整えて、インターホンに手を伸ばそうとした瞬間、


「あら、海里ちゃん?」


タイミングよく玄関の扉が開いた。


「わっ!あっ……え……こんにちは……」


蒼ちゃんのお母さんだ。

なんでこんなにタイミングいいんだろう。

びっくりするに決まってるよ………。


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