幼なじみが、先生で。
再び走り出してからようやく、約束の海に辿り着いた。
海の匂い。
冷たい風。
とても懐かしい。
蒼ちゃん……どこにいるの……?
キョロキョロと周りを見渡すと、見慣れた後ろ姿が目に飛び込んできた。
ーーー間違いない、蒼ちゃんだ。
一歩一歩近づくたびまたドキン、ドキン、と音が響く。
まるで全身が心臓になったみたい。
真剣な瞳で海を見つめる蒼ちゃんは、とてもキラキラしていて。
息をするのを忘れるくらいその姿に魅入ってしまう。
「…………海里」
ぼーっと眺めていたら、先に蒼ちゃんから声を掛けてくれた。
学校で会うときよりも、家で会うときよりも、今は何十倍も緊張する。