幼なじみが、先生で。





ザザーン……と波の音が聞こえる。

目の前には太陽を反射して輝く、青い海が広がっていた


「なんでこんなところに………」


蒼ちゃんから逃げたあの後から、頭がボーッとしてなんだか記憶が曖昧だ。

えっと……たしか……。


教室に戻る前に涙は止まったけど元気なんか全くでなくて、結衣が心配そうな顔をしていた気がする。

気がついたら授業が終わっていて、気がついたら放課後になっていて。


そして、今度は気がついたら目の前には海がある。

どうやら無意識にこんなところまで来てしまったみたい。


4月の海風はまだ肌寒さを感じる。


ここは昔、蒼ちゃんとよく一緒にシーグラスを探しに来た海だ。

蒼ちゃんがいなくなってからも、時々1人で来ることも何度かあった。


蒼ちゃんから逃げて来たのに、蒼ちゃんとの思い出の場所に来るなんてどうかしてる。


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