幼なじみが、先生で。
*
ザザーン……と波の音が聞こえる。
目の前には太陽を反射して輝く、青い海が広がっていた
「なんでこんなところに………」
蒼ちゃんから逃げたあの後から、頭がボーッとしてなんだか記憶が曖昧だ。
えっと……たしか……。
教室に戻る前に涙は止まったけど元気なんか全くでなくて、結衣が心配そうな顔をしていた気がする。
気がついたら授業が終わっていて、気がついたら放課後になっていて。
そして、今度は気がついたら目の前には海がある。
どうやら無意識にこんなところまで来てしまったみたい。
4月の海風はまだ肌寒さを感じる。
ここは昔、蒼ちゃんとよく一緒にシーグラスを探しに来た海だ。
蒼ちゃんがいなくなってからも、時々1人で来ることも何度かあった。
蒼ちゃんから逃げて来たのに、蒼ちゃんとの思い出の場所に来るなんてどうかしてる。