幼なじみが、先生で。
ポタポタと全身から落ちる水滴の音。
「大丈夫か!?」と蒼ちゃんが着ていたジャケットを体に掛けてくれたが、わたしは無反応だった。
なんてタイミングが悪いんだろう。
蒼ちゃんにわたしの本当の気持ち、全然伝えられてない。
いつもは穏やかで大きな波なんか滅多にこないここの海。
あのタイミングで波が邪魔をしてくるということは、まだ蒼ちゃんに本当の気持ちを伝えてはいけないという合図なのかな。
「くしゅんっ…!」
冷静にそんなことを考えていても、さすがにずぶ濡れは寒い。
すぐに考えは蒼ちゃんより自分に向いていく。
昼寝で冷え切った体にさらに冷たい海水。
これは…………しぬ。
「さささささ寒い」
ガタガタと体の震えが止まらない。
「早く帰ろう。このままじゃ風邪ひく」