幼なじみが、先生で。

交わらない心



ー…カランッ


「わっ!」

持っていた箸が手からスルリと抜け落ちた。


「も〜、ぼーっとしてるからだよ」

「えへへ……洗ってくる」



昼休みになり、結衣とお弁当を食べていたのはいいものの、どうやらぼーっとしていたみたい。


落としたのがご飯じゃなくて箸でよかった、なんて呑気な事を考えながら水道でバシャバシャと箸を洗う。




蒼ちゃんと和解できてから数週間が経った。


何日経ってもわたしと蒼ちゃんの関係は特に何も変わらない。


学校で会っても幼なじみという関係を隠すため、わたしから話しかけることもほとんどなかった。

もちろん、蒼ちゃんからも。



たまに蒼ちゃんの家に遊びに行っても、蒼ちゃんは仕事か寝るかで全然相手にしてくれない。

会えなかった時間の分、蒼ちゃんといろんなところに行きたいのに。

どこかロマンチックな夜景でも見ながら告白。

なんて展開もやってくるはずがない。


< 40 / 204 >

この作品をシェア

pagetop