幼なじみが、先生で。
交わらない心
ー…カランッ
「わっ!」
持っていた箸が手からスルリと抜け落ちた。
「も〜、ぼーっとしてるからだよ」
「えへへ……洗ってくる」
昼休みになり、結衣とお弁当を食べていたのはいいものの、どうやらぼーっとしていたみたい。
落としたのがご飯じゃなくて箸でよかった、なんて呑気な事を考えながら水道でバシャバシャと箸を洗う。
蒼ちゃんと和解できてから数週間が経った。
何日経ってもわたしと蒼ちゃんの関係は特に何も変わらない。
学校で会っても幼なじみという関係を隠すため、わたしから話しかけることもほとんどなかった。
もちろん、蒼ちゃんからも。
たまに蒼ちゃんの家に遊びに行っても、蒼ちゃんは仕事か寝るかで全然相手にしてくれない。
会えなかった時間の分、蒼ちゃんといろんなところに行きたいのに。
どこかロマンチックな夜景でも見ながら告白。
なんて展開もやってくるはずがない。