幼なじみが、先生で。




「やっぱりいない……」


2組の教室をチラリと見るとそう呟いた。

次の日、拾った生徒手帳を渡そうと2組に来たはいいものの、芹澤くんの姿がない。


休み時間のたびに教室を訪れたが1度も会えずについには放課後になってしまった。

2組の人が言うには「朝は居たけどそれから見てない」だそう。


帰ったのかと思ったけど、鞄はあるみたいだから教室に戻って来ると思ったが来ないみたい。


「どこに行ったんだろう」


クラスの人に渡しちゃえば話は早いのだが、なんとなくの義務感で「わたしが返さないと」と思ってしまう。


校内をウロウロしながら探し回るが、芹澤くんが行きそうな所なんてわかるわけない。


「もー、いったいどこにーーー」



言葉を呟こうとした瞬間、呼吸が止まりそうになった。


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