幼なじみが、先生で。
「芹澤くんがどこに居るか知りませんか?」
敬語で話すのはなんだかくすぐったい感じ。
そういえば普通に廊下で蒼ちゃんと話すなんて初めてかもしれない。
ずっと避けていたから新鮮だ。
「芹澤かぁ…………そういえば視聴覚室辺りで見かけたような気がするな」
視聴覚室……。
きっと蒼ちゃんの頭の中には芹澤くんの姿が浮かんでいるんだろう。
首を傾げる蒼ちゃんはなんだか可愛くて、思わずクスリと笑ってしまった。
ようやく芹澤くんの居場所の手がかりが掴めたし、あとは向かうだけ。
「ありがとうございます!それでは……!」
1度頭を下げてから、変に思われないように距離をとった。
「あ、あぁ…」
なんとなく浮かない返事が返ってきたけど、たぶん気のせいだろう。
蒼ちゃんの隣を通り過ぎ、少し小走りで視聴覚室までの廊下を進んで行った。