幼なじみが、先生で。


パタパタと床を蹴る音がよく響く。

1度も振り向かなかったけれど、蒼ちゃんはわたしの後ろ姿をどんな顔で見ていたのかな。

わたしなんかには目もくれずに歩き出してしまったのだろうか。

それはそれで少し寂しい。


蒼ちゃんを避けていたここ数日間。

会いたくないのに、見たくないのに、勝手に目は蒼ちゃんを探していた。

職員室の横を通るとき。

多目的室の横を通るとき。


無意識に行動するくらい結局頭の中は蒼ちゃんでいっぱいだった。


そうして蒼ちゃんのことを考えながら歩いていると、


「あっ……」


あっと言う間に視聴覚室の前に着いてしまった。


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