幼なじみが、先生で。
叶わなかった恋が響いて
「あっ、雨だ」
誰もいない放課後の資料室で、ザーッと鳴り響く雨の音に気づいた。
予報では曇りだったのに……。
普段から折り畳み傘、持ち歩いててよかったぁ〜。
「………もう、蒼ちゃんたら人使い荒いんだから」
珍しく蒼ちゃんに話しかけられたと思ったらこれだ。
もうすぐ顔が隠れるんじゃないかと思うくらいの大量の重たい教科書を持たされた。
ホコリがうっすらと積もった机にドサッと乱暴に置いた。
やっぱり蒼ちゃん会わないうちにちょっと意地悪になった気がする。
幼なじみだから頼みやすかったのか「帰るついでに持ってくれない?」とか言い、こんなホコリっぽい資料室に来るはめになってしまった。
たしかに資料室は1階にあるけど、帰るついでにの重さじゃない。
「手伝ってくれてもいいのに……」
地面に叩きつかれる雨の音を聞きながら、窓の外をぼんやりと眺めた。