幼なじみが、先生で。
あれから一週間。
芹澤くんになかなか会わないと思ったら、学校に来ていないらしい。
わたしが余計なこと言ったからかな……なんて考えが頭に浮かぶ。
本当だったら、謝りたい。
「芹澤くんと話したいよ………」
後悔ばかりが押し寄せて、勝手に涙なんか出そうになる。
…………1人でこんな暗い気持ちでいても何も変わったりしないのに。
早く、帰ろう………。
開けっ放しにしてあった資料室のドアをしっかりと閉め、下駄箱へ向かった。
*
ペタペタ歩き、結局暗い気持ちが抜けないまま雨音を聞いていた。
ザーッと静かな廊下に響く音。
耳を澄ませば、雨音に混じった別の音が聞こえてくる。
「ーーーーねぇ、はるか」
はっきりとはわからない。
けど、女の人の声だ。
は、るか…………?
もしかして芹澤くんのこと?
聞こえたのは、下駄箱に向かう途中にある会議室の辺りからだ。
普段会議室は閉まってるはずなのに……誰かいるの?
雨音交じりだったけど、はっきりと“はるか”と聞こえた。
でも芹澤くん学校に来てないみたいだし別のはるかって人かな?