幼なじみが、先生で。


どうして、芹澤くんはあんなに笑顔でいられるんだろう。

芹澤くんが羨ましい。


弱いままの私が余計情けなく見えてくる。



「俺、神崎先生のこと……大好きでした」


少しの迷いも無い芹澤くんを見た神崎先生は、


「………わかったわ」


ようやくにこりと笑っていた。


「ありがとう、“遥くん”」


芹澤くんと神崎先生をどうしても重ねて見てしまう。

あそこに立っているのがわたしと蒼ちゃんだったら………。


「じゃあ、また明日学校で。さよなら」


「えぇ、さようなら」


わっ……!?

くるりと向きを変えて芹澤くんがこちらに向かって歩いてくる。


早く離れないと見つかっちゃうっ……!


気づかれないうちにそっとドアを閉め、急いで会議室を後にした。


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