幼なじみが、先生で。
*
さっき窓越しに聞いた時よりも、はっきりと雨音が聞こえてくる。
パタパタを足を早めて下駄箱に着いたはいいが、雨のことをすっかり忘れていた。
資料室で聞いた時より激しく地面を打ち付ける雨。
どうしてこんな日に限って雨なんか降ってるんだろう。
ぼんやりと眺め続けているわけにもいかず、鞄から折り畳み傘を引っ張り出し、
「よしっ……」
ポンッと広げて外へ行こうと思った、時だった。
ふと芹澤くんの顔が頭に浮かぶ。
芹澤くん……傘、持ってるのかな……。
ううん、それよりも、
こんな激しい雨の中で1人にしてもいいの?
わたしなら寂しいもの。
雨の匂いに雨の音。
雨は別に嫌いじゃない。
でも、雨の日ってちょっと切なくなるもの。
それはきっとわたしだけじゃないと思う。
会わないで帰った方がいいに決まってる。
それが正しいのはわかってるのに、
ーーー足が動かない。
動けずに立ち止まっていると、背後からパタパタと足音が近づいてきた。