幼なじみが、先生で。
わたしが何か言うまでもなかった。
芹澤くんは当然全てお見通し。
余計なことは考えず、ただ事実を伝えればいいだけなのに。
「きっ、聞くつもりはなかったの………たまたま通り掛かって……その………ごめん」
謝ったって、芹澤くんの傷は癒えたりしないだろう。
芹澤くんの痛みも考えず、ただひたすらに自分を守る言い訳ほど醜いものはない。
「いいんだ、海里なら。むしろ聞いててくれてよかったよ」
顔が見えなくたって、よくわかる。
笑ったりしないで。
もっと自分が惨めになる。
怒ってくれた方がどんなによかったか。
芹澤くんの優しさにこんなに苦しくなるなんて、わたしはどうしようもない最低なヤツだ。
「海里のおかげで全部終わらせる決心がついたんだ。ありがとな」
ありがとうなんてやめてよ。
感謝されるようなこと、何ひとつしていない。
ただのおせっかいで、わたしのわがままだったんだ。
「じゃあ、気をつけて帰れよ!」
「せっ………」
芹澤くんっ…………!