好きってきっと、こういうこと。
1*隣の席の同期

晴れ渡る青空を背景に、桜がひらひらと舞い散っている。

そういえばちょうど2年前、あたしは新社会人として新たな人生を踏み出した。

夢見ていたインテリアを取り扱う会社に営業マンとして配属されたことを、つい昨日の出来事のように鮮明に覚えている。

あの頃は夢と希望に満ち溢れていて、毎日がキラキラしていたな……。


と、入社3年目となった今日改めて思い返すと同時に、あたしは入社当時に想像していた状況と真逆の現実に、思わずため息をついた。


「何ため息ついてんだよ」

「なんで入社3年目になった記念すべき今日に、よりによって渡辺と営業回らないといけないの?」

「それはまだまだ未熟なお前を心配した課長が、こんな多忙な俺を付き添いに指名してきたからだろ?入社3年目になったからって浮かれるなよ、内海はなサン?」


オフィス街のお昼時のカフェで、憎たらしい笑みを浮かべながら目の前でブラックコーヒーを飲む男を、あたしはキッと睨みつけた。


あたし・内海はなは、インテリア販売会社・サニーブルーの営業職として働きはじめて、今日で3年目に突入する。

キャリアウーマンとして華々しい活躍をしてやるんだ!と意気込んでいた入社時からは想像も出来ないくらいに、あたしは仕事が出来ない。やる気とは正反対に、いつも何かミスを犯してしまうのが、今のあたしの現状。

クライアントの打ち合わせで使用する資料を用意しないまま打ち合わせに出向いたり、道に迷って1時間もクライアントを待たせて激怒されたり。

とにかくあたしは、入社3年目とは思えないほどに、仕事が出来なかった。
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