好きってきっと、こういうこと。
そんな気持ちを隠すように、あたしは追加でワインを注文する。本日のオススメの赤ワインがおいしかったらしく、ボトルを注文した。
「なぁ、お前そんなに飲めるの?ボトル1本だぞ?」
「うん大丈夫だよー!だって金曜日だし、ワインたくさん飲みたいし」
渡辺の気持ちを聞いてすっきりしたところで、あたしはおいしい料理とワインを心行くまで堪能することにした。
悩み事も消え去って、気持ちよく酔えそう。
「あー!このパエリアおいしすぎる!もう最高!」
「あのなあ、内海」
「ねぇねぇ渡辺!食べてみなよ、美味しいから!」
「お前少し酔ってないか?」
心配そうに見ている渡辺をよそに、あたしは自分のスプーンで掬ったパエリアを渡辺の口もとに持っていく。海鮮たっぷりのパエリアは彩りもよくて食欲をそそる一品だ。
「ねぇ、食べてよ渡辺!」
「は?」
「だから!このパエリアおいしいから食べてよ、ほら、あーん!」
無理矢理渡辺の口に運ぶ。戸惑いながらも咀嚼している渡辺の顔はなんだか赤くなっているように見える。渡辺、熱でもあるのかなあ?
「渡辺、顔赤いよー?熱があるの?」
「うるさい酔っ払い。お前こそもう飲むのやめろよ。完全に酔っぱらってるだろ」
「酔っぱらってないもん!普通なんだもん!」