君を好きな理由
晴れのち曇?
*****




気持ちが良いくらい清々しい晴天の中、友人知人に囲まれた白いドレスの花嫁は綺麗。

ニコニコ新郎はいつも何を考えているか謎だけど、今日の二人はとても幸せそうに微笑んでいる。

うん。電光石火の6月挙式。
やっぱりビックリだけれども、幸せそうなのは何より。


「彩菜ちゃん綺麗ね」

「あ。はるかさん。はるかさんもドレス綺麗! 式にも来てくださってありがとうございます」

微笑む彩菜ちゃんに、とりあえず微笑み返す。

実は式の入場に間に合わず、出てきてフラワーロードを作る人の波に紛れ込みましたけど……

緊張していた彩菜ちゃんは気づかないみたいです。


ごめんなさい。寝坊しました。


「華子さんは、披露宴から出席してくださるそうです」

まぁ、華子には列席は無理でしょうとも。

「披露宴って言っても、このままガーデンパーティなんでしょう?」

「そうなんです。色々と考えたんですけど……写真紹介みたいなのが嫌で」

「写真紹介……」

定番の“二人のなれそめ”的な?

「私のきっかけも嫌ですけど、敬介のきっかけも……恥ずかしくて恥ずかしくて。堂々と言うから顔から火が出るかと思いました」

「あら。興味あるわぁ」

「内緒ですー」

そう言いつつも、花嫁さんは新郎に呼ばれていった。

代わりに新郎と話をしていた博哉がゆっくりと近づいてくる。

目の前まで来ると、眼鏡を直した。

「…………」

「……オハヨ」

「起こしたはずでしたよね?」

起こされました。

起こしてくれた……けど、二度寝しちゃいましたとも~。

「ですから、泊まっていけば良かったのに」

「嫌よ。結婚式だもの。間に合わせのお化粧で出てくるなんて失礼よ」

「俺がはるかの部屋に泊まれば良かったですかね?」

それなら許容範囲だったかもね。

「後の祭りよねー」

見たかったなぁ。

ちゃんとした彩菜ちゃんのヴァージンロード。

ぶちぶちしていたら、博哉は溜め息混じりに肩を竦めた。

「写真を撮るようですが、行きますか?」

「え? 私たちも入っていいの?」

「大丈夫じゃないですか? 親族の写真は、すでに撮り終えていると聞きましたが……」

彩菜ちゃんのまわりはハイカラで、若さはち切れんばかりの若い子達が集まっている。

「あの渦中に行くには、おばさんは歳をとりすぎだわー」

「それを言ったら、彼女はおっさんと結婚したことになりますよ」

「おっさんだもの。仕方がないわよね」

「そんなこと言ってっと、後で山本に嫌味言われんぞ?」

低い呆れた声に振り返ると、いつにも増して華やかな華子を見つけた。


「あらあらあらー。華子にしちゃ華やかな色ね」

肩口のライトブルーから始まって、裾に行くに連れて色が乗り……綺麗なグラデーションで濃くなっていく。

「スーツで行くとか抜かすから、買った」

「……こういうのは着慣れない」

困ったような顔をしているけれど、足元まできっちりコーディネートされてるわね。

……うん。磯村さん。さすがと言うか、やっぱりと言うか。

元タラシだっただけはあると言うか。

「今、何気に失礼な事を考えてねぇか? 女医さん」

「あら。そんなことないわよ」

微笑みではね除けて、4人でしばらく話をしていたら新郎新婦が近づいてきた。
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